<ReR Recommended>
輸入盤05年10月新譜
シュテヴァン・コヴァッチ・ティックマイエル/STEVAN KOVACS TICKMAYER "Repetitive Selective Removal of One Protecting Group"

鬼才作曲家のスリリングなジャンル破壊ハイテンション作品集

 クリス・カトラー、ボブ・ドレイク、マイク・ジョンストンとのザ・サイエンス・グループのコンポジションでもその異才ぶりを存分に発揮している旧ユーゴ・スラヴィア出身の作曲家。ピアノやキーボード(オルガン、ハープシコード)、弦楽器、管楽器、オーケストラ、電子音、ビープ音、環境音、ドラムス(カトラー)やベース(ドレイク)など、様々な音源をサンプリングして自在に組み合わせ、時間を切り刻み空間を埋め尽くすスピーディーで強迫的なコンポジションを構築する。壊れたサンプラーが暴走したかのような狂いっぷり。現代音楽(特にナンカロウ、パーチ)、ブレイクビーツ、スラッシュ・メタル、クラシック、超絶技巧プログレ、民族音楽などあらゆるジャンルを内包しつつ極めて特異なスタイルを確立している。必聴。

シュテヴァン・コヴァッチ・ティックマイエル/STEVAN KOVACS TICKMAYER ReR Recommended 2,730
Repetitive Selective Removal of One Protecting Group '05 ReR ST2

エリック・グリック・リーマン、レスリ・ダラバ、スチュアート・デンプスター/ERIC GLICK RIEMAN, LESLI DALABA, STUART DEMPSTER ReR Recommended 2,730
Lung Tree '04 ReR RDD
リーマン(ローズ・エレクトリック・ピアノ/アコースティック・ピアノ/MOTMモジュラー・シンセサイザー他)、ダラバ(トランペット)、デンプスター(トロンボーン/ディジェリドゥー他)が深夜から早朝にかけて行なったレコーディング・インプロヴィゼイション。ロング・トーン、反復フレーズ、即興の旋律(いわゆる手癖のような)を慎重に重ねながら、繊細で深遠なコンポジションを瞬時に組み立てている。単なるジャム・セッションとは異なる、鋭敏な聴覚で制御された作曲=即興演奏。>>試聴する

トッド・ドックステイダー&デイヴィッド・リー・マイヤーズ/TOD DOCKSTADER & DAVID LEE MYERS ReR Recommended 2,730
Bijou '05 ReR TDDM2
60年代アメリカのミュージック・コンクレートの巨匠ドックステイダーと、彼の信奉者であり、自作のフィードバック・マシーンを用いる電子音響作家マイヤーズ(アーケイン・ディヴァイス)のコラボレーション第二弾。前作 "Pond" で具体音の徹底した抽象化を試みたコンビが次に手がけたのは、実体のないサスペンス/ホラー映画のためのメタ=サウンドトラック。過剰に意味ありげで実は中身がない凝りに凝った効果音、音響効果、BGMの数々は想像力を刺激し混乱させる。ブックレット掲載の思わせぶりなシナリオも、恐怖映画の断片をカットアップしたかのような奇妙なもの。>>試聴する


<関連タイトル>

ザ・サイエンス・グループ/THE SCIENCE GROUP ReR Recommended 2,730
Spoors '03 ReR SCIENCE2
シュテヴァン・コヴァッチ・ティックマイエル(キーボード/サンプラー)、ボブ・ドレイク(ベース)、クリス・カトラー(ドラムス)、マイク・ジョンストン(ギター)。幾何学的に構築されたティックマイエルの驚異的なコンポジションを具現化する超絶技巧のインストゥルメンタル・バンドとなった第2作。リズム分割・リズム転換が頻出するパワフルなチェンバー・ロックと現代音楽、ブルース、ブレイク・ビーツをも取り入れたドラマティックなサウンドが、恐ろしいほどの圧倒的なテンションで迫り来る。ヘンリー・カウ、アート・ベアーズ、ニューズ・フロム・ベイブルに連なる正統派レコメンディッド・サウンドの現在形。推薦盤。>>試聴する

ザ・サイエンス・グループ/THE SCIENCE GROUP Locus Solus 国内盤 2,730
偶然の一致 '99 LSI 2039
ヘンリー・カウ、アート・ベアーズに連なる、ハイ=テンションな正統派レコメンディッド・サウンドが冴え渡るプロジェクトのデビュー作。クリス・カトラー(ドラムス/エレクトロニクス)の「現代科学の諸概念」をテーマにした思索的な歌詞、旧ユーゴの現代音楽作曲家シュテヴァン・ティックマイエル(キーボード/サンプラー)の幾何学的/構築的なコンポジション、ボブ・ドレイク(ベース)のドライヴ感あふれるサウンド・プロデュース。この3人にエイミー・ディナイオ(ヴォーカル)、フレッド・フリス(ギター)、クラウディオ・プンティン(クラリネット)が加わるスーパー・グループ。サンプリング/エレクトロニクスを多用したイマジナティヴでドラマティックなサウンド。(解説/歌詞対訳:坂本理)>>試聴する

ティックマイエル・フォルマティオ/TICKMAYER FORMATIO ReR Recommended 2,730
Wilhelm Dances MCMXCII '93 ReR TFCD
ユーゴスラヴィア出身の現代音楽作曲家シュテヴァン・コヴァッチ・ティックマイエル率いる室内楽アンサンブル。フランスのダンス・カンパニー "テアトル・ジェル" のための作品。
「若きコンポーザーの2作目。ジュルヴェルヌ、リンゼイ・クーパー的な室内楽の魅力はますます全開で、小編成であることを逆にいかした楽器間の繊細なやりとりが何とも麗しい。と同時に本作では、美しさだけに留まらぬ、一種のバロッキズムへの志向も感じられ、このまま順調に進化していくと、他に類をみない独特な音楽が出来上がるかもしれない。」(佐々木
敦―'94)>>試聴する

トッド・ドックステイダー&デイヴィッド・リー・マイヤーズ/TOD DOCKSTADER & DAVID LEE MYERS ReR Recommended 2,730
Pond '04 ReR TDDM1
60年代アメリカのミュージック・コンクレートの巨匠ドックステイダーと、彼の信奉者であり、自作のフィードバック・マシーンを用いる電子音響作家マイヤーズ(アーケイン・ディヴァイス)のコラボレーション。フィールド・レコーディングで採集したカエルの鳴き声をコンピューターを用いて徹底的に加工し、構築したユニークな高音質コンクレート作品集。同じ音源を用いながらまったく違う様相を見せる13曲。>>試聴する

トッド・ドックステイダー&ジェームズ・ライカート/TOD DOCKSTADER & JAMES REICHERT ReR Recommended 2,730
Omniphony 1 '66 ReR TODD1
オーケストラの演奏と具体音と電子音を録音テープ上で等価に扱った先駆的な66年アメリカのテープ音楽。膨大なテープに収められたすべての音源をモーグ(ムーグ)博士のスタジオで最新の機材を駆使して加工/編集している。テープ・ミュージック/ミュージック・コンクレートの作曲家ドックステイダーの音響センスと、CBSテレビの音楽ディレクターでもあった映画音楽/ドラマ音楽の作曲家ライカートのドラマ性が融合した力作。

デイヴィッド・リー・マイヤーズ/DAVID LEE MYERS ReR Recommended 2,730
Engines of Myth '88 ReR DLM1
88年に‘アーケイン・ディヴァイス(=秘法装置)’名義でリリースされた隠れた名盤。インプットなしにフィードバックを発生させる自作の‘フィードバック・マシーン’を操作した音響インプロヴィゼーション。電子音のドローン、ディレイ、リヴァーブなどを用いた有機的なサウンドは、初期の電子音楽を思わせる。アメリカのミュージック・コンクレートの巨匠トッド・ドックステイダーに捧げられている。