<HAIL>
輸入盤新譜

ヘイル/HAIL "Hello Debris"

サイケ歌姫スザンヌ・ルイスと鬼才ボブ・ドレイクによる
ネオ・サイケデリック・ポップ・ユニットが14年ぶりに復活。

 『コロラドのヘンリー・カウ』とも称されたシンキング・プレイグのメンバー、スザンヌ・ルイス(ヴォーカル他)とボブ・ドレイク(ベース他)によるネオ・サイケデリック・アヴァン=ポップ・デュオの久しぶりの新作。スザンヌ・ルイス作詞作曲のソング・チューンを、マルチ・インストゥルメンタリストの二人で多重録音し、ボブ・ドレイクが徹底的にサウンド・プロデュースする手法は昔のまま。初期のどっしりとした骨太なヘヴィー・サイケから、軽くポップでありながらどこか引っかかるような、スリリングで濃密な世界を作り上げている。キャッチーなフレーズがスザンヌの気怠さを含んだヴォーカルによって愛らしく歌われ、気まぐれのように唐突に変化する曲の構成と、それらを彩るアレンジの小ワザの数々に意表を突かれる。絡まるような速弾きメロディーもボブ・ドレイクらしい。ヘイル空白期間中のドレイクの変態ソロ・ワークスとエンジニア経験が、サウンドの複雑さや細部へのこだわりを一層深めているようだ。現在進行形の‘レコメン系’の一つ。06年。

スザンヌ・ルイスの公式サイト
http://www.susannelewis.com/

ボブ・ドレイクの公式サイト
http://www.bdrak.com/

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Hello Debris '06 ReR H3

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Turn of the Screw '90 ReR HCD
ヴィーナス・ハンドカフスを経て結成されたヘイルのデビュー作。リヴァーブたっぷり、サイケ風味をふんだんに利かせたヘヴィーで骨太なハードロック・サウンドに、スザンヌのフレッシュな高音ヴォーカルがハマっている。ゲストで元スウェル・マップスのエピック・サウンドトラックスが参加。90年。

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Kirk '92 ReR HCD2
前作から2年で早くもリリースされた第2作。デビュー作での重みのあるハード・ロック調サウンドに比べ、軽やかさが一気に増している。サウンドを構成する一要素という趣だったヴォーカルも、本作ではスザンヌの声質の可愛らしさが映えるソング・チューンへと変化している。とはいえロックの要素も強く、奇妙なアレンジとも相まって、アヴァン=ポップに流れすぎない独特の個性を確立している。ドラムでデイヴ・カーマン (5UU'S) が参加。(レーベル品切れ中、再プレス待ち)。

ヴィーナス・ハンドカフス(スザンヌ・ルイス&ボブ・ドレイク)/VENUS HANDCUFFS (SUSANNE LEWIS & BOB DRAKE) Ad Hoc 2,520
Venus Handcuffs '86 AdHoc 06
アメリカにおけるヘンリー・カウの後継バンドの一つ、シンキング・プレイグのメンバー二人によるダーク&ヘヴィなネオ・サイケデリック・ポップ。重く引きずるようなベースやキーボードを重ねた音響に気だるい女性ヴォーカル。自前の機材を使ったヨーグルト工場の廃墟での録音が、深いエコーと密室的な雰囲気を醸し出している。共にマルチ・インストゥルメンタリストであり、ルイス(ヴォイス/ギター/ヴィオラ/アコーディオン/シンセ/オーケストロン/メロトロン)が詞と曲を作り、ドレイク(パーカッション/ベース/フルート/ヴォイス/テープ/ヴィオラ)がサウンド・プロダクションを担当している。このユニットが後に発展してヘイルとなる。>>試聴する