<CHARLEMAGNE PALESTINE>

60〜70年代、ラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、トニー・コンラッドらと同時期に、音響探究からミニマリズムへと至った鬼才シャルルマーニュ・パレスタイン。現代美術のアーティストとしても、可愛いぬいぐるみを使った異様な諸作品で知られている。近年の著しい再評価の高まりにより新旧の音源がCD化されている。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE (with TONY CONRAD+RHYS CHATHAM/TERRY JENNINGS/ROBERT FELDMAN) Alga Marghen 2,730
Sharing a Sonority '67&'74 28NMN 068
パレスタインの未発表音源を発掘するザ・ゴールデン・リサーチ・シリーズのニュー・リリース。ドローン・ミュージック/ミニマル・ミュージックのオリジネイターたちの歴史的共演を3曲収めた貴重なドキュメント。パレスタインのサスティーンの効いたピアノのゆったりとした爪弾きにテリー・ジェニングスのサックスが絡む甘美なデュオ(74年)。音数を抑えたパレスタインの電子音とボブ・フェルドマンのフルートとを重ね合わせ、響きを探る実験音響デュオ(67年頃)。最も長時間収録されているのは74年のパレスタイン(ヴォイス他)と、トニー・コンラッド(ヴァイオリン他)、リス・チャタム(フルート他)のトリオ。半日に及んだセッションのうち録音が残っていた冒頭の30分間。Dフラットを基音にしたドローン・アンサンブル。変化に富んだ単調。>>試聴する

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen LP 3,150
Voice Studies (LP) '60-'71 19VocSon 072
音響詩など声を使った実験音響作品を限定LPでリリースするVocSonシリーズの一枚。『声による習作集』。60年代初頭の『シュルレアリスティックな習作』は、ウェブコア製オープン・テープ・レコーダーの回転数操作と、なぜか付属マイクを録音直後に引き抜くとフィードバックが発生して歪みながらエコーがかかる(!)という「不具合」が引き起こすエフェクトを駆使したヴォイス/テープ作品。71年の『声とピアノのための習作』は、サスティーンを効かせたピアノの緩やかな反復と、猫の鳴き声か倍音の出ないホーミーのような独特の発声を組み合わせた作品。60年代中期の『声のための習作』は、ユダヤ聖歌で用いられるようなファルセットを微妙に干渉し合うように多重録音した一人デュオ。『美和音と声』は、サスティーンの効いたピアノのアルペジオとホーミーのようなヴォイスを合わせた優美な曲。385枚限定LP。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Shiiin 6,720
The Golden Mean '79 Shiiin 2
79年パリ、ソルボンヌ教会での録音。音の響きに定評のあるベーゼンドルファーのインペリアル・ピアノを2台使った作品。片方のピアノで中央のドの音を連打しながら、もう一台で別の音を連打する。連打をほんの少しずつ、速めたり緩めたり、強めたり弱めたりしながら、ドに合わせる音を変えていく。それぞれの音程が作り出す音の響きは、倍音や共鳴を呼び、組み合わせにより異なる表情を見せる。ミニマルな音が作り出す豊かな響きとその変容ぶりは驚異的。自らデザインしたヴェルヴェット素材の豪華特装ジャケットには5色のヴァージョンがある。各色200枚の1000枚限定エディション。記番入り。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen 2,730
Alloy '67&'69 13NMN 035
"Holy 1 & Holy 2" はオシレーターから発せられる電子音とノイズを真夜中のスタジオで大音量で再生しながら、フィードバック/オーヴァーダブを夜毎繰り返し作り上げた67年作品。微かなうなりを伴う重層的なドローン。69年の "Alloy" は会場のスピーカーから同時に流される "Holy 1" と "Holy 2" をバックに行なわれた集団即興演奏のライヴ録音。盟友トニー・コンラッドが自作弦楽器で低音をうねらせ、パレスタインが自作のメタル・パーカッションを連打し、デボラ・グレイザーがシャーマニスティックに叫び、ボブ・フェルドマンが法螺貝を吹く。宗教儀式のようにスピリチュアルな演奏。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen 2,730
Continuous Sound Forms '72&'78 14NMN 036
"Duo Strumming for Two Harpsichords" は2台のハープシコードのための二重奏。鍵盤を叩く強迫的な和音の連打から生まれるハープシコードの豊かで鋭い響きは、ホイナツカのクセナキスを彷彿とさせる。78年。一転して "Piano Drone" はサスティーンを効かせたピアノで奏でられるリリカルな独奏曲。オリエンタルな音階に基づく緩やかなフレーズが次第に変化しながら反復される。72年。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen 2,730
In Mid-Air '65-'70 19NMN 047
「夜更けの電子音響」と副題にあるようにニューヨークのスタジオで夜毎、音響実験に没頭した60年代後半の5作品を初音盤化。複数のオシレーター音源のピッチや波形、フィルタリング、ミックスなどをコントロールして、絶えず姿を変える立体音響彫刻を中空に出現させる試み。最初期のシンプルな『サイン波音源による習作』から年を追うごとに、多くの音源の倍音や和声、干渉などを自在に操る、より複雑なシステムを構築していく過程が、あたかも研究論文を読むように窺えて興味深い。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen LP 6,300
Negative Sound Study (LP) '69 19NMN 047LP
上記CD "In Mid-Air" に収録されている'69年の表題作23分を収録したわずか290枚限定の片面LP。「夜更けの電子音響」と副題にあるようにニューヨークのスタジオで夜毎、音響実験に没頭した60年代後半の作品の初音盤化。複数のオシレーター音源のピッチや波形、フィルタリング、ミックスなどをコントロールして、絶えず姿を変える立体音響彫刻を中空に出現させる試み。

*下記2タイトルのAlga Marghenによる再プレス特別セット(オリジナル紙筒入り)

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Alga Marghen 4,830
Godbear + Jamaica Heinekens in Brooklyn '87+'98 CP 002/003
(BAR 019+
BAR 021)
数年前オランダのBarooniレーベルからCD化されたものの、長い間品切れになっていた "Godbear"、"Jamaica Heinekens in Brooklyn" が、イタリアのAlga Marghenレーベルのコーディネイトにより2作品セットで限定再プレスされた。Barooni盤とまったく同じ体裁(プラケース入り)の2枚を、両作品のジャケットを表裏に印刷した薄い紙箱(背はない)で束ねてある。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Barooni 2,625
Godbear '87 BAR 019
87年ニューヨークの教会で録音された作品。周囲をぬいぐるみで埋め尽くし、コニャックを呷り、インドネシアの煙草をふかしながら、何時間にも渡って手から血が流れ弦が切れるほど激しくピアノを弾く特異なスタイルから生み出された音楽は、グレン・ブランカやソニック・ユースにも大きな影響を与えた。サスティーン・ペダルを踏み込んだグランド・ピアノの連打。美しいハーモニーと強迫的なノイズの塊。

シャルルマーニュ・パレスタイン/CHARLEMAGNE PALESTINE Barooni 2,625
Jamaica Heinekens in Brooklyn '98 BAR 021
ニューヨークに住む西インド諸島の人々のためにブルックリンの目抜き通りで盛大に行われるジャマイカ・デイ・パレードの、パレスタイン自身によるフィールド・レコーディングに、オルガンとオシレーターによるドローンを重ねた音響作品。夜店の雑踏に静かに添えられたドローンは、カーニヴァルの熱狂とともに激しく最高潮を迎える。98年作品。