唐代末期の孟郊の詩に基づく。ウエイン・ハットンとエクトール・ザズーの翻案による多国語からなる数節。


爛柯石

仙界一日内 人間千載窮
雙棋未遍局 萬物皆爲空
樵客返歸路 斧柯爛從風
唯餘石橋在 猶自凌丹虹


仙界 一日の内、人間 千載窮く。
双棋 未だ局を遍くせざるに、万物 皆な空と為る。
樵客 返帰の路、斧の柯 爛りて風に従う。
唯だ余す 石橋在りて、猶自 丹虹凌ぐを。


仙人界の一日で、人間界では千年が過ぎる。
仙人の碁の勝負もつかぬうちに、何もかもが消え失せた。
対局を眺めていた木こりが帰ろうとすると、斧の柄はたちまち腐って風に飛ばされた。
そこにはただ石橋が、赤い虹のように残っている。