<DOMINIQUE GRIMAUD (GRIMO)>

70年代フランスの代表的なアヴァンギャルド・ロック・グループ、カミゾールの中心メンバーであり、80年代にはストレンジなエレクトロ・アヴァン=ポップ・ユニット、ヴィデオ・アヴァンチュールのリーダーであり、90年代にはブルース・プロジェクト、ピーチ・コブラーのギタリストだったドミニク・グリモー。フレンチ・アンダーグラウンドの生き証人であるとともに学究肌の音楽マニアでもあるグリモーは、77年には68年の五月革命に端を発するフランスのロックに関する貴重な二巻本資料集 "Un Certain Rock (?) Francais" を著し、最近ではパスカル・コムラードクリンペライピエール・バスティアンゲダリア・タザルテスなど、通好みのアーティストの音源を発掘CD化する‘ズュット・オ・ピスト’シリーズを監修している。

ドミニク・グリモー&ピエール・バスティアン/DOMINIQUE GRIMO & PIERRE BASTIEN In Poly Sons 2,520
Rag-Time Vol. 2 '08 IPS 0308
ドミニク・グリモーの「ラグ=タイム」=「時間を解体する/時をいたぶる」プロジェクト第二弾はピエール・バスティアンとの奇才デュオ。グリモーの初期一体型レコード・プレイヤーと、バスティアンの自動演奏装置メカニウムで、昔のレコードを様々に演奏しながら、ピアノやギター、ウクレレ、トランペット、コルネットなどの器楽音、モーグ・シンセサイザーなどの電子音、各種ノイズを重ねていく。ノスタルジックな大衆音楽やダンス音楽とレコードに対する屈折した愛を感じさせるグリモーの「いたぶり」ように加え、バスティアンとメカニウムが醸し出す幻惑的なトーンが印象的。>>試聴する1 >>試聴する2

ドミニク・グリモー/DOMINIQUE GRIMO In Poly Sons 2,520
Rag-Time '03 IPS 0303
昔のSP盤と蓄音機、モーグ・シンセサイザー(特にその自動演奏機能)、各種ペダル・エフェクターを通したオープン・チューニングのフェンダー・ストラトキャスターなどを使って「rag-time」=「時をバラバラにする」プロジェクト。針音ノイズもノスタルジックな、古き良き時代のラグタイムやタンゴと戯れつつ、モーグのポヨヨーン、ピーというまったく異質な電子音でいたぶり(=rag)解体する(=rag)。同調と破壊の危ういバランスに、原曲に対する屈折した愛情を感じさせる。レッド・ツェッペリン、ジョン・フェイヒー、モーツァルトのカヴァー(?)を含む、昔の大衆音楽やダンス音楽、ブルース、現代音楽と、あらゆるジャンルからの膨大なリファレンスに幅広い音楽的素養が窺われる。>>試聴する1 >>試聴する2